Photo Masayori Ishikawa |
カンボジアフットボールを語るのに、この男を外すわけにはいかない。今季はこれまで2シーズン過ごしたナショナル・ポリスFCから、アルビレックス新潟プノンペンFCへ移籍した32歳GK吉田康幸だ。同国では太田に次いで2番目に長い3シーズン目を迎える吉田。日本人選手が増えるカンボジアリーグで、頼られる兄貴的存在でもある。
カンボジアに来る以前、怪我で2年間リハビリに励み、そしてなでしこリーグのクラブのGKコーチをしながら現役を続ける道を模索してきたという。そしてたどり着いたカンボジアでこの2シーズン、カンボジア人と本気でぶつかってきた吉田は、日頃の練習からカンボジア人選手のプロとしての意識を向上させるため、時に厳しく接することもあったという。
2年前カメラマン石川が吉田をインタビューした記事にこんなことが書いてあった。
「僕たちは外国人枠を使ってプレーしています。本来であればカンボジア人が出場できるところを自分たちが出場しています。ですので僕達を使ってよかったプレーの面でも、サッカーに対する姿勢の面でもチーム から評価してもらえるように頑張らないといけない」
「スタジアムもとてもサッカーをする所ではありません。観客もサッカーを分かっていいて見ている人は居ないでしょう。カンボジアがサッカーを本当に強くしたいのであればサッカーを文化として作って行かなければいけないと感じます。プレーヤーにしても意識が低すぎます。給料がまだまだ低くて大変なことはわかります。しかし、サッカー選手と名乗っている以上は高い意識を持たなければいけません。サッ カーは遊びじゃない。」
そんな吉田の姿勢に、意識の変化、また目標を持つことができた選手も多いのではないだろうか。おそらく本人の意識もさらに高いものになっていることだろう。その証拠に、以前に比べ 「カンボジアのために」 「カンボジア人を勝たせたい」 という言葉が多くなった気がする。
しかし、ゴールキーパーとして海外で活躍することは決して簡単ではないはずだ。言葉はもちろん、それ以外にも必要なものは多いのではないだろうか。しかし吉田の周りにはよく人が集まる。それは持ち前の人柄はもちろん、何より吉田自身が助っ人としてプレーする日本人選手の意味を理解しているところが大きいのかもしれない。
新天地となるアルビレックス新潟プノンペンでチームのために、そして同国のGKのレベルアップのために、吉田は今季もピッチで泥だらけになる。
吉田康幸
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